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1.職場の重要問題・課題をテーマに選ぶテーマ(取り組む問題・課題)はQCサークル活動を成功させる重要な要素の一つです。これをうまく選んで解決・達成できると,お客様や後工程が喜んでくれますし,活動に携わるメンバーも達成感を感じることができます。ところが,多くのサークルがなかなかテーマを見つけられないという悩みを抱えています。推進者・推進事務局としてはどのようなことを考えればよいのでしょうか。推進者のページ(1)問題・課題を見つける工夫を促進・支援する普通の人は自分が慣れ親しんだ仕事のやり方に問題・課題があるとはなかなか思いません。うまくいかないことがあってもその場を何とかやりくりできればすぐに忘れてしまいます。この難しさを乗り越えるには,問題・課題を見つける工夫をすることが大切です。たとえば,“お客様・後工程の満足を向上する”,“ムダ・ムラ・ムリをなくす”,“うっかりミスによる事故を防ぐ”などの「着眼点」を決めて仕事のやり方を見直したり,仕事でうまくいかなかったことを書き留めて「一覧表」にしたりするなどの工夫が必要です。したがって,推進者・推進事務局としては,各サークルにこのような工夫(問題・課題を見つける工夫)を行ってもらいたいわけですから,自職場や他職場のよい工夫を集めて,サークルに紹介し,それぞれの状況に合わせてどんどん活用してもらうようにすることが必要です。(2)方針管理・日常管理と改善活動を結びつけるしくみを考える問題・課題は,仕事の結果とねらいが一致しないことです。その意味では,ねらい,すなわち達成したい・すべき状態を明確にすると,問題・課題を見つけやすくなります。「方針管理」は,組織として方針(重点課題,目標,方策)を定め,これを組織の階層に従って展開したり,その結果を集約したりする活動です。一方,「日常管理」は,仕事のプロセス,各プロセスのインプット/アウトプット,アウトプットに対する基準,要因系に対する良品条件を明確にし,これらを守れるように標準化する(標準書の作成・改訂,業務に関する知識・スキルの向上,職場パトロール,エラープルーフ化など)とともに,結果を管理図や管理グラフにして通常と異なる傾向が現れた場合には“プロセスが変わった”と判断し,その原因を追究することで,よりよい状態を維持できるようにする活動です。方針管理や日常管理を徹底すると,多くの問題・課題が自然に顕在化し,テーマの選定で悩むことが少なくなります(図・2参照)。ボトムアップ1.お客様・後工程の満足を向上する2.仕事のムダ・ムラ・ムリをなくす3.うっかりミスによる事故を防ぐ…問題・課題抽出の視点気づいた問題・課題の記録小集団個人小集団個人基準管理項目作業標準,管理図・管理グラフ小集団個人小集団個人組織方針目標部方針目標課方針目標方針書期末の反省書方針書期末の反省書方針書期末の反省書職場問題・課題検討会管理職スタッフ一般職問題・課題一覧表共有関連職場図・2方針管理・日常管理と改善活動を結びつける2023年5月号29