QCサークル 2022年12月号(No.737)


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e-QCCとQCサークル活動に求められる進化め方」,「能力向上との一体化」,「ノウハウの共有・活用」などがポイントになることが示されています。経営者のリーダーシップ重要課題・問題の選定柔軟なグループ編成方針展開テーマ=重要課題・問題変化を予測・先取りして活用する経営重要課題・問題の発見と整理経営者・管理者戦略を立てる経営環境の現状変化をつかむ組織を知る職場・職種の連携スピードある改善力小集団改善活動「個」の価値を高める(自己実現)業務一体(業績貢献)形式にとらわれない個を大切にし,職場の活力を生む経営推進しくみの評価と見直し共有・活用成果=組織のノウハウノウハウの活用・展開能力向上と一体化課題・問題に合った改善・管理の進め方職場に合った活動の進め方図・2e-QCCの一般的なモデルまた,表・1では,ビジョン3「形式にとらわれない,幅広い部門で活用される活動」の意味するものをイメージしやすいように,1)製造,2)開発,3)営業,4)サービス,5)管理間接の五つの職場を取り上げ,各職場の特徴,それらを踏まえた進化のポイントを具体的に示しています。表・1e-QCCの職場別モデル•顧客との対話やコミュニケーションの影響が大きい•人命尊重・安全管理が求められる場合が多い。•専門化・分化が進んでおり、職種間の壁が大きな障害•複数の職場の連携,その改革をはかる業務である•非定型業務であり,個人のスキル・能力に大きく依存•問題意識・達成感を持ちにくい•新製品の増加,生産期間の短期化•新規性が高く,同じことを繰り返さない•アルバイト・派遣社員・外国人従業員が増加•海外移転・アウトソーシングの急速な進展•開発ごとにプロジェクトチームの形成と解散を繰り返す•情報共有が結果に大きな影響を与える•景気などの影響が強く,プロセスの考え方が弱い•個人ごとに担当地域,顧客が異なっておりノウハウ・知識・経験が相互に活かされにくい特徴職場製造開発営業サービス管理間接モデル変化対応型知的コミュニティ形成型組織密着型専門職統合型組織横断型•市場品質,設計効率の視点からプロセスを見直す•業務目標(売上げ,CSなど)の達成の活動として位置づける•職場の方針・目標に結びついたテーマの選定•変化を予測し問題・課題を先取りする•柔軟なグループ編成,上司・技術者・関係部門・他サークル・プロジェクトチームとの協力の促進•個人・サークルの能力育成を同時に目指す•三現,5ゲン主義によるメカニズムの理解•得られたノウハウの上流部門の技術標準への反映ポイント•解析チーム・対策チームを編成,報告会などの場を設けて途中経過を職場全体で議論•発表会だけでなく,成果は実物を見られるようにして共有化をはかる•設計ライブラリィや標準的な設計開発プロセスを定めた規定に反映•プロセスの改善と結びつける•個別の事例をもとに,コーチングを通した能力の育成をはかる•対策案の職場における情報の共有化を促進する•営業のプロセスや手法をまとめ,多くの職場に展開•組織全体のあるべき姿と現状を対比して取り組むべき課題を明確にする•他部門を巻き込んだ活動,部門横断チームによる活動を行う•“しくみ”を解析,改善,標準化する•業務に必要な能力の明確化,一人ひとりの能力の把握,達成目標設定,計画的向上をはかる•トップのリーダーシップのもと,CSや安全の視点からプロセスを見直す•職種横断チームを編成する•アンケートによる数値化,FMEAなどを用いた潜在する問題の抽出などの手法の活用•勤務実態に応じた無理のない教育・研修•職場や全社の推進組織(標準化委員会,安全管理委員会など)との密接な連携(ポイントの欄は大幅に省略してある。詳細が知りたい場合は文献[1]を参照。)e-QCCのビジョン1.図・1に2002年QCサークル本部方針で示されたe-QCCのビジョンを示します。経営環境の変化が激しくなるにつれて,成果のみを求め,能力向上やノウハウの蓄積・活用を後回しにしがちです。このため,ビジョン1と2では,「QCサークル活動の三つの基本理念」の同時達成を理想の姿として明確にしています。そのうえで,ビジョン3では,開発,営業,サービス,管理間接など,製造以外の職場の役割が重要になっていることを踏まえ,「形にとらわれない活動」を求めています。変化1従来に増して確実な成果が求められるビジョン1業務一体の活動の中で自己実現をはかる活動変化2着実な能力向上,ノウハウの蓄積・活用が求められるビジョン2「個」の価値を高め,感動を共有する活動変化3幅広い部門における活動が求められるビジョン3形式にとらわれない,幅広い部門で活用される活動図・1e-QCCのビジョンe-QCCのモデル2.経営環境の変化に伴って,様々な企業・組織が従来の進め方を見直してきました。その中には活動の再活性化につながった例も少なくありません。これらの成功例をほかの企業・組織が参考にしやすいように一般化したのがe-QCCのモデルです[1]。図・2では,a)経営者・管理者が中心となって行う重要課題・問題の発見・整理と,b)QCサークル活動(小集団改善活動)が担うスピードのある改善力の二つを結びつけることが大切であり,このためには,「経営者のリーダーシップ」,「重要課題・問題の選定」,「柔軟なグループ編成」,「職場・職種の連携」,「課題・問題に合った改善・管理の進10QCサークルNo.737


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