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連載講座2.ある夜のちょっと難しい話題ここでは,前回にも登場した稔さんご一家が,恵ちゃんが学校で学んだ「よいことの習慣化」と安子さんの市民大学における講義科目「維持・改善」による話から始めます。どうでしたか。こんな話が「現場力の育成と強化」に関係があるとは思えなかったでしょうか。でも,意外と関係しているのです。漫画に登場した話から,少し考えてみましょう。(1)現場力とは現場とは,「経営者,管理者をはじめとした社員がかかわるすべての業務範囲のこと」です。現場といえば,「第一線の職場のこと」と思いやすいですが,経営者や管理者にも,それぞれの現場(業務範囲)があるのです。その現場における現場力とは,①現状の顧客提供価値を維持する能力②新たな顧客提供価値を創造する能力③それらの顧客提供価値を保証する能力などの能力を意味しています(定義されたものではなく,筆者が,そのように考えているというべきかもしれませんが)。顧客には消費者,従業員,株主,債権者,協力会社,地域社会,行政機関およびマスコミなどのステークホルダーが含まれると考えることもありますが,本連載では「後工程」を重要な顧客であると考えてきました。また,顧客提供価値には,トヨタ生産方式(TPS)における正味作業,不随作業,ムダの分類に習って,(A)顧客の困りごと解決に直結する価値(正味価値)と,(B)顧客の困りごと解決には直結しないが,顧客の困りごと解決に必要な価値(不随価値)があると考えます。さらに,顧客価値は,同じ製品・サービスであっても,どちらの価値になると受け止めるかは顧客ごとに異なるという点が顧客ニーズと違います。少し理屈っぽい話になりました。「現場力」とは,一人ひとりが主体的に課題・問題を発見・解決する能力であって,経営トップからあらゆる部門におけるすべての人々が,顧客指向(後工程はお客様)で,以下のことを行うことのできる能力であると考えているのです。①決められた業務を確実に遂行し,決められた価値を安定的に生み出し,よい状態を維持する能力,すなわち標準を明文化し,周知を徹底して,確実に標準を遂行できる能力②①の能力をさらに高め,顧客提供価値をよりよくする能力,すなわち•継続的改善を通じて新たな標準をつくり,ルーチン化する能力•顧客の現場や社会の変化から得た気づきを活かし,新しい価値を創造する能力なのです。3.第一線の職場に定着させたい三つの習慣漫画の中で恵ちゃんが「習慣」の大切さを語っていますね。読者の周辺でも,効果的・効率的な行動を行っている人は,「こういう時はこうする」という行動の型,すなわち「習慣」を身につけているのではないでしょうか。そうなのです。品質管理は,業務プロセスの「質」を管理・改善する活動を通じて,TPSで知られる三つの習慣を身につけることで,上記①や②の能力を獲得しようとしているのです。(1)「止める」習慣①止める,呼ぶ,待つ年月号47