QualityClub_Sample_201704


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TQM(TOTALQUALITYMANAGEMENT:総合的品質管理)とは,顧客の満足する品質を備えた品物やサービスを適時に適切な価格で提供できるように,全組織を効果的・効率的に運営し,組織目的の達成に貢献する体系的活動。デミング賞委員会の定義は,TQMの意味をよく説明していますが,この定義の特徴の第1は,顧客(使用者,消費者,受益者など)志向を重視していること,第2は,企業の全組織を効果的・効率的に運営していくこと,第3は,体系的に活動が展開されていることを重視している点にあります。TQMという用語を,もう少し平易に説明すると,図1のようになります。TQM活動の特徴をまとめると次のようになります。■TQM活動の7つの特徴【1】経営トップのリーダーシップのもとに,顧客志向を重視してトップから職場第一線の人まで,企業のすべての人が参画して行う活動です。【2】総務,経理,技術,設計,製造,営業など,企業の組織内のすべての部門で行う活動です。【3】市場調査,商品企画,設計,製造,販売,アフターサービスなど,商品やサービスを提供するすべての段階で行う活動です。【4】品質保証,新製品開発,原価管理,生産量管理,販売管理,安全管理,環境管理,情報管理,人材開発・育成など,管理のしくみを充実し,PDCA(PLAN,DO,CHECK,ACT)のサイクルを回していく活動です。【5】Q,C,D,S,M,Eを改善・管理し,向上していく活動です。【6】QC的ものの見方・考え方を重視する活動です。【7】QC手法の活用が欠かせない活動です。TQMは何をすればいいのか“しくみ”を高度化・洗練化する製造業を中心に発展してきたTQMも,今ではサービス業,建設業,小売業などのあらゆる業界でTQMが導入され,推進されています。企業がTQMを導入する動機はいろいろですが,その第1は,「いかなる環境の変化にも対応できる企業体質の強化」にあります。今日の様相から見ても,今後どのような環境の変化がやってくるかは,予測できません。よって,いかに環境が変化しても対処していける強い事業基盤を築いておきたいということです。では,“企業体質の強化”とは,どういう意味でしょうか。企業体質とは,「企業の力」,すなわち「その企業がもっている固有の性質,力」であり,具体的には,「企画力,開発力,技術力,販売力,品質力,コスト力,管理力,組織活性力,問題解決力など」を指しているのです(図2)。次に,このような力はどのようにして高めていけばいいのでしょうか。それは,図3に示すように,仕事のやり方,つまり現在の“しくみ”のまずいところやもっと良くしたいところを問題・課題として摘出し,これを速いスピードで解決し,このうまいやり方を標準化し,企業のノウハウとして蓄積し,「しくみの高度化・洗練化」をはかっていけばよい」のです。シリーズTQMの基本とその進め方①図1TQMの意味図2企業体質とは図3しくみの改善の手順3クオリティ・クラブNO.12017年4月号10


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