QualityClub_Sample_201704


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PROFILE細谷克也(ほそたにかつや)1960年日本電信電話公社(現NTT)入社,近畿通信局調査役を歴任後1983年退職・現職。技術士,品質システム主任審査員。各企業のTQM活動,ISO9001,QCサークル活動を指導,国内外で活躍中。1998年にデミング賞本賞を受賞。著書は,『品質経営システム構築の実践集』『QC的問題解決法』『QC的ものの見方・考え方』『QC七つ道具』(以上日科技連出版社)など全134冊を刊行。TQM活動により得られる効果QCDSMEが向上するTQMを導入・推進していくと,次のような“効果”をあげることができます。これは,TQMを推進してこられた会社の声を集めてまとめたものです。■TQMの効果【1】Q,C,D,S,M,Eに関する有形の効果をあげることができます。【2】贅肉を落とし,強靭な企業体質に改善できます。【3】利益が確保でき,低成長経済や環境変化に強い経営が確立できます。【4】トップの方針が全社に展開され,総力結集の効果がはかれます。【5】品質第一の考え方が浸透し,顧客の厚い信頼を得ることができます。【6】創造性と活力が発揮され,新製品・新技術の開発が進みます。【7】事実に基づく管理,PDCAを回すことが行動として定着します。【8】QCサークルやQCチーム活動により,業務の改善が進み,問題解決力のある人が育ちます。【9】部門間のセクショナリズムがなくなり,社内のコミュニケーションが良くなります。【10】全社員の意欲が高まり,挑戦的目標に積極的に取り組むようになります。■有形の効果有形の具体的効果としては,企業の規模や業態によって異なりますが,TQM導入後,3~4年で,導入時の実績に対して,ほぼ次のような効果が得られます。換言すると,このような効果が得られるように推進していくことが重要です。【1】売上高,利益………………………………………1.5~3倍【2】工程不良率,クレーム金額…………1/10~1/100【3】リードタイム…………………………………………1/2~1/3最後に,TQM活動で大きな成果をあげられた事例として,㈱メイドーの長谷川裕恭社長のメッセージを紹介します。シリーズTQMの基本とその進め方①4株式会社メイドー代表取締役社長長谷川裕恭氏クオリティ・クラブNO.12017年4月号114つの課題を掲げて全員参加でTQM活動を推進した結果,デミング賞実施賞,大賞受賞につながったTQM推進事例[参考・引用文献][1]『デミング賞・デミング賞大賞応募の手引き』,デミング賞委員会,2016,P.2(TQMの定義)[2]細谷克也編著,『品質経営システム構築の実践集』,日科技連出版社,2002当社は高強度ボルトを主要製品とする従業員1,000人の自動車部品メーカーです。2008年の世界金融不況以降,①人材育成,②管理のしくみ強化,③従来からの改善活動の打破,④業界№1達成の戦略構築という4つの課題解決に向けて,TQM活動を強化・展開してきました。その活動プロセスと効果が評価され,2010年デミング賞実施賞を,2013年デミング賞大賞を受賞することができました。国内の自動車生産台数が2008年をピークに,その後停滞・縮小する中,当社はTQM活動の強化で,4つの課題が解決され,社員の品質意識が向上し,改善された良いしくみができあがり,統計的解析手法を活用した改善事例が増えてきました。そして,顧客先品質不良が1/5になり,売上高は2012年度以降,過去最高を年々更新し続けています。これは,全員参加のTQMを強力に進めてきた効果であると思っています。


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