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特集QCサークル活動を成功させるのは「会合」にかかっています(3)要因分析ストラットマウントのどの特性が異音に影響しているのか,FTA解析により要因分析をしました。そこで,ストラットマウントのゴム厚調査から図面規格より薄いことがわかりました。次に,開発部門と協力して車両の模擬装置を使ってゴム厚との関係を検証しました。その結果,ゴム厚が薄いとストラットマウントと車体の間に隙ができ,ストラットマウント自体が車体を叩いて音が鳴ることがわかり,異音発生メカニズムを特定しました。会合のポイント③ゴム厚測定の際,ストラットマウントをゴムごと切断し,測定していました。しかし,実機で検証するためには,切断せずに測定しなければならない課題に悩んでいました。何気なく魚釣りの話をしていたところ,魚群探知機の仕組み(図・2参照)の会話になりました。その会話がきっかけとなり超音波によるゴム厚の非破壊測定を思いつき,実機検証につなげました。日常会話から気づきを得た経験から,全員が集まる会合だけでなく,日頃のコミュニケーションをこれまで以上に大切にしています。図・2魚群探知機(イメージ)(4)対策立案・実施と効果の確認,歯止めお取引先様でのゴム厚の管理に加え,ゴム成形の金型の摩耗管理を実施しました。会合のポイント④対策立案では,若手は理解が浅いと発言できず,対策がベテラン中心のアイデアや,よくある無難な対策になりがちなため,製造工程や工法を若手にもわかるようにていねいに説明することを重視しています。ベテランの豊富な知識に,若手の新鮮な発想を引き出せると,斬新で効果的な対策を練ることができるからです。加えて,ベテランも若手に負けじと対策を妥協しなくなり,効果のスパイラルが生まれます。若手に寄り添って会合を進めた結果,ゴム厚管理に留まらず,金型の摩耗管理まで徹底した実施ができました。対策の結果,ゴム厚不良と異音発生を撲滅することができました。歯止めとして,製品管理と設備管理を誰もがばらつきなく行えるように手順や判定基準を標準化しました。3.「会合に対する想い」のまとめ私たちは,日常会話からも品質改善につながる気づきを得られることから,会議室だけが会合ではなく,すべてのコミュニケーションを含む会話が「会合」ととらえています。本事例の超音波のゴム厚測定は,業務の知識からは出なかったアイデアです。趣味が高じて魚群探知機を購入,その経験を日常会話で話したことがきっかけとなり生まれた発想です。今後も,「会合」を通じてサークル活動を活性化し,最高品質のアクスルをお届けします。まとめ改善活動の「会合」は,時間をとって会議室で行うことがすべてではありません。何気ない日常会話でアイデアが生まれるものがあります。そのためにも日頃の職場でのコミュニケーションが大事です。(堤博幸)2024年4月号11