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特集未然防止はそんなに難しくない「未然防止」という言葉を聞いて,どんなイメージを持ちますか。難しい,スタッフや管理者,レベルの高いサークル/チームが取り組む上級編と感じている人も多いと思います。未然防止は,一言でいえば「実施にともなって発生すると考えられる問題をあらかじめ計画段階で洗い出し,それに対する修正や対策を講じておく活動」です。この説明を聞くと,まだ起こっていない問題にどうやって取り組むのかといいたくなりますが,私たちが直面する問題の多くは,過去に経験済みの問題が別の場所で繰り返し起こっているものです。したがって,過去に発生した問題を集めて整理することで,その背後にあるパターンを見つけることができ,これを活用することであらかじめ起こりそうな問題を予測できます。また,過去の有効な対策を整理し活用することで,うまい対策を思いつくためのヒントを得ることができます。今月の特集では,未然防止とは何か,なぜ必要なのか,具体的に何を行えばいいのかについて考えてみたいと思います。最初に,未然防止の基本について簡単に説明したうえで,3つの職場における未然防止の推進事例・活動事例を紹介します。導入のきっかけは何だったのか,導入で何が難しかったのか,それをどう克服したのか,どんな効果が得られているのかなどについて,導入した当時を振り返りながらわかりやすく説明してもらいます。1.小売業の現場における未然防止2.医療の現場における未然防止3.製造の現場における未然防止未然防止では,「起こりそうな問題にいかに気づくか」が大切になります。このためにはFMEA(FailureModeandEectsAnalysis,失敗モード影響解析)などの手法の活用が有用ですが,必ずしも手法にこだわる必要はありません。業務や設備・機器など,未然防止の対象となるものを見える化すること,典型的な起こりそうな問題をまとめた失敗モードをうまく活用することが大切です。このような未然防止に取り組む際のポイントについても掘り下げて解説します。4.起こりそうな問題に気づくためにはニーズが多様化するにつれて,仕事が複雑になるにつれて,未然防止がどうしても必要になります。未然防止なんて自分たちには関係ない,まだまだ先の話と思わないで,取り組んでみようかという気になってもらう一つのきっかけになればと思います。(中條武志)関東編集小委員会1月号特集メンバー委員長/中條武志委員/金内幸子,古川孝介,丸山将範2024年1月号9