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これに対して考えられる対応策をPDPCの形式で作成すると,図・2のような案を考えることができそうです。しかし,これは第1案というべきものであって,新しい情報が入手される度にPDPCは更新されることになります。さらに,図・2における「No」の場合には,「目的を達成するための手段として,①の場合は「近鉄電車で名古屋駅から大阪到着時間を確認する」,②と③の場合には「京都駅からタクシーを利用する」など対策を検討することが大切になります。近鉄線に乗車するYesNo①近鉄難波に10:30までに到着する?Yes近鉄難波駅に到着【制約条件】①顧客との面談アポイント時間は11:00〜11:30である。②大阪には,自社の支店に営業部門がある。私鉄は運行しているか?Yes淀屋橋駅に10:30までに到着する?NoNo②③Yes私鉄(近鉄と京阪)に乗車する東京駅を07:30に出発新幹線車内緊急放送米原駅付近で線状降水帯発生のため,名古屋駅発が遅れる可能性があるYes名古屋駅で下車する?No京都駅で下車する?No新大阪駅に到着顧客と商談11:00〜11:30図・2新幹線乗車中の緊急放送に対するPDPCで作成した対応策私たちは,QCサークル活動において,目標を達成したり問題を解決したりするため,その実施計画の各ステップを計画通りに進めようと努力していますが,何らかの変化により,当初の計画通りに進むとは限りません。計画の立て直しを迫られることになります。特に,現状打破をねらうテーマの場合には,「今までの知見では,解決手段の読み切りが不十分であったり,環境の変化や不測の事態によって,当初計画外の対策が必要になったりする」ことが起こります。このように,問題解決や課題達成の計画段階では,実際にやってみないと結果がどうなるかわからない「不確定要素」が含まれるものです。そのため,実行段階で逐次的に得られた情報を取り入れ,その後の最適な実施計画を再検討する必要性に迫られるのです。『QCサークル』誌やQCサークル活動の成果発表大会で「未然防止型QCストーリー」や「課題達成型QCストーリー」において用いられる「成功シナリオ分析」は,PDPC的な思考法の応用例であるともいえます。3.PDPC法の適用場面PDPC法は,事態の推移が動的(ダイナミック)で流動的な状況下で用いられるリスク対応型の図的思考法であるため,開発・設計の精緻な思考を必要とする部門,営業・販売・サービスなどの対人折衝を必要とする部門において必須のツールであるといえます。しかし,これらの部門において活用されるPDPCは,社内の生々しい問題解決プロセスを開示したものとなるため,基本的に社外秘扱いされます。筆者も部課長スタッフ・技術者の問題解決や課題達成年月号49