QCサークル 2023年12月号(No.749)


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特集活性化するリーダーシップとは?上塗りの技能・知識でもっと役立てるべ吹付基本技能体感訓練全吹付ポジション習熟慣れてきた今こそ初心に返ろう専門技能吹付特訓QC手法・ストーリーの流れがイメージしやすくなり,若手のスキルアップにつながりました。若手育成二本目の矢は,上塗りの技能・知識を身につけるため,「専門技能の吹付特訓」をしました。モニターに映ったポイントを塗料ではなく水を吹きつけて,スピード感や引き金のコントロールを身につけ,その後,全吹付ポジションを習熟しました(図・2参照)。三本目の矢は,さらに改善の幅を広げるために,デジタルネイティブな若手にパソコンを使いゲーム感覚で興味を持ってもらい,ロボットの操作を安全に楽しく体感できる「ロボット教育」を実施しました。この三本の矢を合わせることで若手たちは強靭な武器を手に入れることができました。3)リーダーシップを発揮した改善事例テーマ:「B車バックドアタマリ不具合撲滅」若手のやる気を感じ取ったベテランメンバーのモチベーションも向上し,今後の活動のためにもリーダーシップを発揮できるようにと新リーダーで改善を進めることにしました。図・1三本の矢の「専門技術の吹付特訓」スピード感や引き金コントロールなどをみにつけるモニターに映ったポイントを水吹きし塗布角度〈テーマに取り組む背景〉上塗り仕上げの直行率が低下し,日々の生産台数が未達のため追加残業で生産を挽回している中で,タマリ不具合が982件と一番多く発生していることがわかりました。徹底した現状調査から,「バックドアタマリ不具合」をゼロにする目標を立て,ベテランと若手のペア活動で進めることにしました。〈工場全体を巻き込んでの対策実施〉早急に治具を作りたいんだが塗装課には足りないものが多すぎる塗装が止まれば工場全体に迷惑がかかるテーマ【タマリ不具合ゼロに向けて】特性要因図を用いて主要因を洗い出し,検証の結果,バックドア形状と静電塗装の特性により,角に塗料がタマリやすくなっていることがわかりました。対策の検討・実施では,系統マトリックス図の評価から「タマリ防止治具をつける」となり,治具作成を業者に依頼したところ,1ヵ月かかることがわかりました。そこで内製すべく改善班と検討の結果,素材や設備がないためすぐには無理とのことでした。リーダーは上司とも相談して,工場のQRQC会議(図・3参照)でタマリ防止治具について各課の協力を求め,「タマリ防止治具」が作成できました。さっそく治具を取りつけ,生産するとタマリ不具合がゼロになりました。内製で作成した「タマリ防止治具」については,世界中の日産グループへも水平展開しました。図・3工場のQRQC会議に治具作成の協力依頼生産を止めないために工場全体で活動しよう!!QRQC会議で取り上げてもらい各課に協力を依頼することができた力を貸してくださいタマリ対策に3.リーダーシップを発揮してベテランと若手のペア活動からお互いをよく知ることができ,ベテランと若手の壁もなくなり,サークル内の雰囲気もよくなりました。若手育成のためにリーダーがしかけた「三本の矢」を合わせることで,強靭な武器を手に入れ,改善成果に大きな力を発揮しています。2023年12月号11


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