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この概念を用いると,「サービス提供が遅れる」ことの要因を追究する要因追究型の系統図(図・2参照)や,「部品を切断する」という切断機能に対する機能を展開した機能展開型系統図(図・3参照)のような系統図を作成することができます。特に,目的・目標を達成するために必要な手段を展開した「系統図」を作成し,問題(事象)の全貌に一覧性を与えて問題の重点を明確にしたり,目的・目標を達成するための最適手段を選定したりする方法が系統図なのです。素材加工が遅れる調理が遅れる調味品質が未達になるサービス提供が遅れる盛りつけに手間取る部品を切断する配膳が遅れる接客が混乱する配膳順番を間違える図・2要因追究型系統図工具を回転させる工具を移動する部品を移動する説切削面を冷やす工具を固定する固定部を回転する工具を固定する固定部を移動するワークを固定する固定台を移動する冷却材を当てる摩擦熱を除去する図・3機能展開型系統図3.系統図法の適用場面私たちが出合ってきた問題の多くは,「2次方程式2x2+x-6=0の解を求めなさい」といったように,これまでの知識や経験に基づいて正解(この場合は,x=3/2と-2)を導き出したものでした。しかし,「商品Aの売上げを130%増にする」とか,「サークル会合におけるメンバーの発言率を倍増する」といったテーマの解決においては,「これが正解である」と呼べるものがあるかどうかさえも判然としないでしょう。そのうえ,品質(Q)の更なる向上,原価(C)の更なる低減,あるいは納期(D)の更なる短縮など,複数の要求事項を同時に達成することが求められることの多い職場にあっては,これまでの経験や知識を超えた新たな発想が必要となっています。(1)QCサークル活動を活性化するには某社のQCサークル推進室では「サークルリーダーの悩みを聞くと,“やらされ感が強い”とか“ワクワク感がない”などという悲鳴が聞こえてきます」という意見から,「QCサークル活動を活性化するには」をテーマとして系統図を作成しました(図・4参照)。この図・4には,それぞれの最下位の3次手段に対して,「効果」,「実現性」,「経済性」を「5」,「3」,「1」によって評価することで,いくつかの重要手段を選定しています。すなわち,「人の意見を否定しないでほめる」,「問題解決におけるデータの重要性を教育する」,「職場の問題を自分ごととして認識する」,「テーマの目標値をステップごとに設定する」という4つの重要手段を抽出しています。この時,「どの段階まで手段展開を行えばよいのですか?」と悩まれる方がいると思いますが,年月号49