QCサークル 2023年10月号(No.747)


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1.QCサークル教育の意義(目的)QCサークル活動を進めるにあたり,特に重要とされる教育内容を大別すると,(1)改善を進めるための基礎的な手段・手法を習得する「問題解決・品質管理教育」,(2)QCサークル活動の円滑な実施やリーダーシップの向上を目的に,推進者・推進事務局を含めた対象者に行う「QCサークル活動に関する教育」,(3)企業の事業そのものを維持・発展させるために必要な「固有技術・専門知識に関する教育」があります。これらは,QCサークル活動の導入時に限らず,QCサークル活動の進捗状況に応じて繰り返し行う必要もあります。(1)問題解決・品質管理教育問題解決は,QC的ものの見方・考え方(品質最優先,管理のサイクル,事実に基づく管理など)をベースに,品質管理手法などを活用して,製品・サービス・仕事などの質の管理・改善を行う活動です。この活動を効率的・効果的に行うには,品質管理の原則(顧客志向,PDCAサイクル,全員参加など),問題解決の手順,さらにはQC七つ道具などのQC手法の教育が必要です。(2)QCサークル活動に関する教育QCサークル活動を効果的に運営するためには,サークルリーダーはメンバーからの意見の吸い上げや指導・会合をスムーズに運営するための能力が必要です。また推進者・推進事務局はサークルリーダーやメンバーの困りごと・悩みや進め方に対して寄り添い,アドバイスできるスキルを身につけることが必要です。こうした教育を行うためには,次のような方法があります。・社内に教育コースを設定する。あるいは社外コースを活用するなどして基本的なことを教育する。・テキストを使って各自が自己啓発する。QCサークル会合での相互啓発など,自主的な勉強を支援する。(3)固有技術・専門知識に関する教育固有技術や専門知識は,企業の事業の根幹をなすものです。それぞれの部署には固有の技術,専門知識があり,この技術・知識の習得が従業員にとっては必須です。QCサークル活動における学習が進み,活動が活発になってくると,より高度なテーマに挑戦するようになってきます。固有技術・専門知識と,上述した問題解決・品質管理の知識やQCサークル活動に関するノウハウ(管理技術)とが,車の両輪として機能することで,より大きな改善活動ができるようになります。固有技術も管理技術も奥が深く,これでよいということはありません。その意味で教育は継続しなければなりません。たとえば,QC手法以外にも多くの手法がありますので,必要に応じて,教育し,活用できるようにしてください。また,これらの教育は,企業の教育部門と,QCサークル推進者・推進事務局とで別々に計画・推進するのではなく,全社的な教育体系に組み込むことも大切です。24QCサークルNo.747


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