QCサークル 2023年4月号(No.741)


>> P.13

1.事例紹介ここでは1月号で紹介したIEの問題解決ステップに従い具体的な事例で考え,その後にQCストーリーの問題解決型にあてはめ両者のつながりを考察したいと思います。(1)事例概要【事例会社】業種:食品スーパーマーケット象者:レジ業務担当者対業務内容:お客様が購入する商品の会計業務外部環境:密を避けるため行列は敬遠される主務:商品のレジ登録,会計の金銭授受業ある食品スーパーマーケットでのレジ業務の改善事例です。食料品や日用雑貨品を問わず,みなさんが実店舗で買い物をされる際にはほとんどの場合,レジで会計を済ませるのではないでしょうか。近年はセルフレジの浸透や決済手段の多様化で,レジでの金銭授受の姿は大きく変化しました。しかし,変化が少ないのが,販売員が商品をレジ登録する業務です。多くの小売店ではいまだに人の手によってレジ登録業務が行われています。1回当たりの購入個数が多く,レジ登録時間が長くなりがちな食品スーパーマーケットでは,レジでの待ち時間はお客様の来店動機の悪化につながる重要な問題です。登録内容に誤りがあると,信頼にもかかわるため,正確かつ短時間での処理が求められています。レジ登録業務は,商品をカゴから取り出し,バーコードを機械にかざしてレジ登録し,別のカゴに入れる動作の繰り返しですが,形状やバーコードの位置が様々な商品をていねいかつ素早く登録し,お客様が取り出しやすいようにカゴに入れるのは技術が必要です。新人はパート社員からコツを教わり,手を速く動かすように指導されますが,レジ登録時間の短縮や作業の標準化にはつながっていませんでした。対策前平均1月〜12月:5.1人1月〜3月:4.7人543210図・2レジでのお待たせ人数の推移ピークタイムお待たせ平均人数推移69781112(月)(人)012345671(2)IEの問題解決ステップで考える①問題の認識レジ登録業務に時間がかかり,お客様をお待たせしていました(図・2参照)。レジ登録時間の会社基準値は20品当たり60秒ですが,店舗平均値は66秒と基準に達しておらず,レジ登録の遅い人と速い人との差があり,サービスレベルにムラがあります。テーマを「レジ登録時間の短縮」とし,改善活動を開始しました。②問題の明確化レジ登録のもっとも遅い人と,もっとも速い人のレジ登録データを比較してみると,20品当たりの登録時間は28秒の差があることがわかりました(図・3参照)。さらに,同じ商品を二重に登録したものを取消す回数が,遅い人は平均で4回多く発生していることがわかりました。取消し動作にかかる時間が1回当たり3(秒)908070605040302010084ABC店舗平均値:66秒もっとも遅い人:84秒もっとも速い人:56秒56FGHDE図・3レジ登録時間の比較LMNOPKJIQRST(販売員)年4月号53


<< | < | >>