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特集今,改めてQCサークル活動のねらいを問う—目的・阻害要因・工夫—QCサークル活動(小集団改善活動)は第一線職場において発生する様々な問題の解決に貢献しています。また,65歳から70歳までの雇用延長後の団塊世代の第一線職場における本格的な大量退職,管理部門における国際競争力強化をねらった各種ITツールやAI機器導入などによるDX化など,今取り組んでおかなければならない将来問題(これを「課題」ともいいます)の解決にも貢献しています。このような様々な問題の解決をねらったQCサークル活動を推進する時,今改めて問わなければならないのは,QCサークル活動において取り上げるテーマの選定なのではないでしょうか。それらは,ものづくり工程における不良率やロスコストの低減あるいは生産性向上,製品の組立やサービス提供プロセスにおけるムダやロスの削減など,経営指標に直結した適切なテーマの選定なのかもしれません。しかし,QCサークル活動がねらっているのは,職場にある隠れた困りごとをテーマに取り上げられる職場風土の構築や問題解決に必要な知識・技能・技術などの獲得を,ベテランと新人が年齢や経験の壁を越えて,全員の知恵と工夫を発揮することです。そして“明るく・活気にあふれた職場の実現”であると思います。“そんなことはわかっていますよ。では,どうすればよいのですか。”というQCサークルリーダーのみなさんから厳しい質問が聞こえてきそうです。そうなのです。サークルリーダーのみなさんが,日々悩み・苦しんでいるのは,個々のテーマをどのようにすれば解決できるか」ということではなく,“明るく・活気にあふれた職場”を実現するためには,「どのようなテーマを選定し,どのような役割分担を設定すること」によって,全員参画による活動を推進することができるかということなのです。今回の特集では,そうしたQCサークルリーダーの悩み・苦しみに対するヒントを与えるべく,「今,改めてQCサークル活動のねらいを問う―目的・阻害要因・工夫―」と題して,“明るく・活気にあふれた職場の実現”,そして職場第一線にある様々な経営問題を解決し,成功した企業事例を特集してみました。取り上げた6事例では,QCサークル活動の究極のねらいである“明るく・活気にあふれた職場”と“職場問題の解決による経営貢献”を実現するためには,取り上げようとしているテーマの目的の明確化とサークルメンバー間の共有。そのテーマ解決の阻害要因の認識とそれらの阻害要因を克服する工夫が必要であると語りかけています。また,それらの実現には,所長・課長・係長・班長・職長などの理解と支援が求められることから,単に“お願いする”のではなく,“そうしなければならないしかけを構築する”ことの必要性も語っています。日頃読者が感じ,思っている阻害要因が登場することでしょう。また,「そうなのか」と感じ入る工夫に膝を打つことと思います。ぜひ,最後までお読みください。(猪原正守)近畿編集小委員会3月号特集メンバー委員長/猪原正守委員/楠和彦,黒田育央,榊秀之,島田茂雄,清水義浩,高木美作恵,名倉三加代,原守,藤本史穂,山㟢崇,山来寧志2023年3月号9