QCサークル 2021年8月号(No.721)


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事例2プライベートで養った技能をサークルに伝承トヨタ自動車㈱東富士研究所コロンブスの卵サークル菅原健太郎さん会社と職場の紹介静岡県裾野市にある東富士研究所では,自動車に関する様々な研究開発や実験を行っています。私は,車両運動性能を評価する部署に所属し,「コロンブスの卵サークル」(平均年齢37歳,8名)のリーダーです。サークルは,何ごとにも“それ,おもしろいね!”を合言葉に活動しています。紹介する人サークルの中心人物である松山北斗さんは,プライベートで全日本プロドリフト選手権(通称:D1GP)にGRスープラで参戦し,昨年は第6戦エビスサーキット西コースで単走優勝,年間総合10位という実績を持つ“レースドライバー”です。また,自分で練習用車両を製作するなど,「筋金入りの車大好き人間」です。菅原さん松山さんここが自慢するところ松山さんの車に対する情熱と技能は,QCサークル活動でも遺憾なく発揮されています。サークル会合では,メンバーの意見に耳を傾け,設備改善や治具製作などのアイデアを具現化するアドバイスや提案をし,活動の方向性を示してくれます。また,改善治具などの工作の場では巧みな腕前を披露し,メンバーの育成にもつながっています。このような,技術と技能が養われている背景には,■高速走行から一気に車を横に向ける「大胆さ」■絶妙な角度でハンドルをコントロールする「繊細さ」といったドライビングテクニックによるものだと思います。この両極端なスキルが,QCサークル活動での大胆な発想や,きめ細やかなものづくりに活かされていると感じています。D1GPでの活躍QCサークル活動への影響固定概念にとらわれやすい対策立案のステップで,斬新なアイデアを提案してくれるため,メンバーの様々な考え方を引き出すキッカケとなり,活発な意見交換の場になっています。また,若手にも工作技能が伝承され,人材育成とスキル向上に結びついています。「ものづくりが楽しい,達成感がある」との声もあり,サークルの中心的な存在です。学びどころプライベートな特技や趣味をQCサークル活動に活かし,公私がうまく噛み合っている事例です。「仕事にも遊び心を,遊びにも仕事魂を」といわれることの実践といえます。特に,若手への技能伝承によって人材が育成され,それがサークル全体のスキルアップと活性化につながっている点が参考になります。(構成鈴木則子)2021年8月号11


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