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連載講座2.おいしい中華料理を食べるここでは,第1回で登場した稔さん(45歳)ご一家(妻:安子(42歳),長女:恵(14歳),長男:崇(11歳))が,ある日曜日に中華料理店で昼食を食べる場面をご紹介しました。どうでしたか。こんな話が「品質とは?」に関係があるとは思えなかったでしょうか。でも,意外と関係しているのです。以下,少し考えてみましょう。(1)品質の定義ISO9001:2015では「品質」を次のように定義されています。品質は,「対象に本来備わっている特性の集まりが,要求事項を満たす程度」と定義される。注記1“品質”という用語は,悪い,よい,優れたなどの形容詞とともに使われることがある。品質は,「対象に本来備わっている特性の集まりが,要求事項を満たす程度」と定義される。注記2“本来備わっている”とは,“付与された”とは異なり,対象の中に存在していることを注記1“品質”という用語は,悪い,よい,優れたなどの形容詞とともに使われることがある。意味する。注記2“本来備わっている”とは,“付与された”とは異なり,対象の中に存在していることを意味する。また,JSQC選書(1)では,次のように定義されています。製品・サービス,プロセス,システム,経営,組織風土など,関心の対象となるものが明示された又は暗黙のニーズを満たす程度。製品・サービス,プロセス,システム,経営,組織風土など,関心の対象となるものが明示さ注記1ニーズには,顧客と社会の両方のニーズが含まれる。れた又は暗黙のニーズを満たす程度。注記2品質/質の要素には,機能,性能,使用性,入手性,経済性,信頼性,安全性,環境注記1ニーズには,顧客と社会の両方のニーズが含まれる。保全性,感性品質などが含まれる。注記2品質/質の要素には,機能,性能,使用性,入手性,経済性,信頼性,安全性,環境保全性,感性品質などが含まれる。品質に対する公的な定義なので,用いられている言葉を含め一般には難解なところが多いかと思います。さらに詳しく考えてみましょう。(2)中華料理店の品質私たちが,ショッピングモールにある中華料理店でラーメンを選択する場面を考えてみましょう。私たちがラーメンという「対象」に対して持つ「要求事項」には,①おいしいこと②ボリューム(量)のあることなどがあるかもしれません。この時,ラーメンに「本来備わっている特性」とは何でしょうか。A)「おいしいこと」=「味覚のよいこと」は本来備わっているものB)「ボリューム(量)」は本来備わっているのでなく付与されたものなどと考えられます。また,スープには,味(味覚),色(視覚),温度(触覚),におい(嗅覚),硬さ(触覚)などがあるかもしれません。これらの特性が顧客の要求事項を満たしている程度が「品質」なのだと定義されているのですから,「品質を評価するのは,お客様であって,中華料理店の経営者や店員ではない」ということがわかりますね。(3)品質要素ところで,ラーメンの「品質」を構成している性質や性能を分解し,それぞれについて論じるような技術を「品質展開」といい,展開された個々の性質や性能を「品質要素」と呼びます。たとえば,「おいしい」というラーメンの性質を「味」や「硬さ」などに展開し,さらに「味」年月号51