QCサークル 2022年3月号(No.728)


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*ワンポイントアドバイス*困りごとが事実であることが,データで定量的に裏づけされています。そこで,この調査と現状把握での供給高のデータを,テーマ選定の問題の背景として整理すれば,さらに論理的な妥当性が得られるでしょう。現状の把握①4種の煮魚の中で,サバの供給高が45%を占めていました(図・2参照)。②「身の反り返りと皮めくれ」という不具合が84%を占めていました(図・3参照)。⑤メンバー全員が,レシピどおりに調理しており,不具合が個人的に偏っていることはありませんでした。⑥ネット調査で,加熱による縮み方が身と皮とで異なることを学びました。*ワンポイントアドバイス*様々な角度から,現地・現物・現実の姿を,データを交えてきめ細かく調査されています。そのうえで,現状把握で何がわかったのか(問題点)を特定し,その問題点を要因解析の特性値にするとよいでしょう。調査内容から見て,「湯温の変化で,身の反り返りと皮めくれが発生する」が問題点と思われます。目標の設定「身の反り返りと皮めくれ」の発生率を,2019年3月までに,月当たり「26%からゼロ%」にする目標を設定しました(図・6参照)。体験事例12018年11月26%11月3月サバの煮付け「身の反り返り」「皮めくれ」不具合発生率302520151005サバ煮付け不具合の発生状況2018年11月1日〜30日(%)発生率全不具合ぶりかれいN=616サバ赤魚図・2供給高比率④照り・つやなし③身崩れ②皮めくれ件調査期間:2018年11月1日〜30日①身の反り返り件N=86件①身の反り返り②皮めくれの不具合が全体の84%図・3不具合比率③サバの背と腹の両端部分が内側に反り返り,飾り包丁と切り身の端近くで,皮めくれが発生していました(図・4参照)。背身の反り返り調査皮のめくれ調査発生飾り包丁腹図・6目標の設定発生要因の解析2022年3月号33「身の反り返りと皮めくれ」の要因を解析し,①サバが冷たい②冷蔵のタレを一度に入れている③煮汁が減るとお玉がサバに当たるを主要因に抽出しました(図・7参照)。▼特性要因系統図を用いサークル会合で要因解析実施①原料(サバ)が冷たい②冷蔵のタレを一度に入れている皮が先に縮むお湯の温度が急に上がる原料(サバ)を入れたことで,下がったお湯を再沸騰させる標準以上に温度が下がる皮が先に縮むお湯の温度が急に上がるタレを入れて,下がった煮汁を再沸騰させる標準以上に温度が下がるお玉がサバに当っている③煮汁が減って当たりやすくなるレシピ通りには上手にできないカン・コツがわからない経験が少ない図・7要因解析原料(サバ)を鍋に入れた後再沸騰させる時,身の反り返り・皮めくれが発生するタレを入れた後再沸騰させる時,身の反り返り・皮めくれが発生する灰汁とりする時,サバを触り皮がめくれるサバ煮付けの「身の反り返り」「皮めくれ」「不具合が発生」すべての商品が同じように両端(背・腹)部分が皮側に向かって反りあがる皮めくれ件数40%(35件)図・4サバの煮付けの不具合状況◆飾り包丁の入れた箇所(件)全体の◆切り身の端から(件)全体の43%(37件)④身の反りりと皮めくれは,「水が沸騰→サバを入れる→煮る」の工程内で発生していました(図・5参照)。①サバを解凍する②1/2カットする③水が沸騰したら入れる④アクを取る⑤タレを入れる冷凍サバフェーレを前日より冷蔵にし自然解凍解凍サバを1/2にカットし切れ目を×にする水1.5Lを沸騰させ切り身8切をボイルするボイル時に浮き出てきたアクをお玉で取る④の湯1000mlに対してタレ500mlの割合で入れ煮る⑥サバを煮る⑦煮汁の確認⑧サバの照りを出す⑨盛り付け沸騰してきたら1回目の味の確認をし蓋をして10分間強火で煮込む10分間煮込んでサバの身を煮汁に絡ませながら煮汁の量を確認する煮汁の泡が細かくなってきたら味の最終確認をして火を弱め煮汁をかける火を止めて30分サバの温度が下がったらトングでトレーに盛り付ける図・5サバの煮付けの調理工程


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