QCサークル 2021年11月号(No.724)


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体験事例1「方法」でパレットの停止状況を調査したところ,毎回の停止位置がバラバラで,パレット位置ズレが大きいとワークが引っかかる事実をつかみました。しかし,現状把握の情報整理からパレット位置ズレが小さいものでも発生しており,「人」によって合わせる位置が違うことから,カンコツ作業をしていることがわかりました(図・4参照)。原理・原則でいくとパレットとワークの位置関係が悪い時に発生する矢と的でたとえると…的(パレット)位置が悪い矢(ワーク)位置が悪い情報を整理すると…現状把握結果位置ズレ大位置ズレ小発生発生不良〇〇〇〇〇〇〇×人設備材料方法(パレット)調査なぜ…?なるほど,ワークも見ないと作業者にヒアリング見えないのにどうやって作業してる?C君目線で中央をねらってセットB君奥側のセット位置は見えない予測してセット作業A君柱を目安にセットしている腕を起点に固定している図・4引っかかるに対しての4M調査現状把握のまとめから,2つの特性として「パレットが跳ね返り停止位置がズレる」,カンコツ作業なのでワークセット位置がズレる」を調査することにしました(図・5参照)。現地三現主義現物現実さかのぼり調査にて現場を特定脱荷工程パレットセット作業調査データを基に絞り込み前プレートビデオ解析でつかんだ現実引っかかるレ不良がどの作業で発生しているかをA・B・C・Dの関所で調査したところ,Dのパレットセット後に前プレートにすき間が発生していることがわかり,ワークの死角で見えないためビデオカメラを設置し確認しました(図・2参照)。吊上げ後B停止定位置ホイスト搬送後動搬C発送自手動手動程見工Dパレットセット後下ろし方が悪いんじゃないですか…??決めつけはダメ!現地で現物を見て現実をつかむこと。死角で見えない仮溶接後BD件件なしなしなしありA件C件D作業状態前プレート位置ズレ各工程パレットに下ろした後に位置ズレが発生台調査図・2不良作業の発生個所を特定ビデオカメラを設置ビデオ解析したところ,パレットのクランプとワークのサイドプレートが一時的に引っかかり,その後のセット時に引っかかりが外れ,自重で勢いよく落ちた衝撃で前プレートが開く現象を発見しました。「引っかかる」に対して4M調査を実施したところ,「人」,「設備」については問題はありませんでした。「材料」では板厚やワーク寸法を測定しましたが,調査データが少なくばらつきが見えなかったため,ヒストグラムを使用することにしました。しかし,メンバーからは使い方がわからないといわれ,勉強会を開催することにしました。結果として多少のばらつきはあるものの,すべて規格内に納まっており不良との関連は確認できませんでした(図・3参照)。調査結果特性パレット停止位置が跳ね返り停止位置が20㎜以上ズレると引っかかるパレットが跳ね返り停止位置がズレる奥側が見えないのでカンコツ作業となっているカンコツ作業なのでワークセット位置がズレる結果〇〇〇××図・5絞り込んだ2つの特性現状把握人設備材料方法調査n=X=板厚(単品)規格±上限規格上限規格下限規格個個数733.8734.2734.6735.0735.4735.8幅(サブアッシー)個数下限規格個規格+734.0734.4734.8735.2735.6736.0736.2㎜サイドプレート幅13.413.513.613.713.813.914.014.114.214.314.414.5サイドプレート板厚14.6㎜図・3材料との関連をヒストグラムで確認学びどころワンポイントアドバイスQC手法を作成したら作成年月日の記入をおすすめします。いつのデータと比較したのかを確認することはとても重要です。現状把握では,不良発生の傾向が見えないため三現主義で調査しワークの死角部分はビデオで確認して現象をつかみ,「引っかかる」に対しては4Mで調査するなど徹底した調査をしている点は大変参考になります。2021年11月号33


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