QCサークル 2021年7月号(No.720)


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作成者:木田数:秒サークルメンバーだけで解決できないことは,他部署に応援を求めるなど,協業した活動で原因究明しています。体験事例1学びどころ実際に作業している,「現場の声」を受け止め,きちんと検証したことで,真の原因につながる大きなヒントを得ています。さらに分析を進めると,時間がかかるものは自動検査スタート時に停滞する特徴があることがわかりました。私たちには自動検査装置の動作一つひとつはわかりません。そこで,検査装置に精通している生産技術グループに協力してもらい,自動検査スタート時に停滞する原因を調査しました。学びどころ3.現状把握私たちが担当する4つの工程について,それぞれの現場を確認したところ,電気検査装置の前でプリント基板が滞留していました。そこで,1週間,250個の作業時間平均を測定したところ,電気検査がネックになっていることがわかりました(図・2参照)。・担当工程(4工程)①はんだ検査④防湿剤注型②電気検査③異物検査はんだ・部品状態を確認部品が正常に動作するか検査顕微鏡で異物の確認・除去ウレタンでコーティング313335257279235〜3〜3〜3〜2〜2〜2〜2〜2〜1〜1〜1〜1112931図・3自動検査にかかる時間分布179135157191213(個)100806040200電気検査装置は正確な検査を行うため,プリント基板に搭載されているコンデンサの電荷を0.2V以下に放電してから検査する仕組みになっていました。そのため,コンデンサの電荷放電に時間がかかるものは検査時間が長くなってしまいます。特に,実装箇所C201のコンデンサの放電に時間がかかっているものが多く,平均の放電時間が11秒,検査にかかる実時間は11秒であることもわかりました。4.目標の設定放電時間,平均11秒を5秒短縮して6秒にすれば,増産後,現在,420分の生産時間が432分になるものの残業にはならず定時内に仕事を終えることができます。現状把握した結果を踏まえて,コンデンサの放電時間を2019年11月末までに,平均11秒を6秒にすることとしました。5.要因解析と検証メンバー全員で知恵を出し合い,特性要因図にまとめ整理したところ,「検査用のピン(電極)が劣化している」,「コンデンサの納入形態が異なる」,「コンデンサにたまっている蓄電量が大きい」の3つを重要要因とし,2021年7月号33はんだ検査電気検査異物検査防湿剤注型図・2工程ごとの作業時間分析電気検査は自動機械での検査になっており,プリント基板をセットし検査起動するだけでプリント基板の良否を判定します。自動機械ですので作業者による時間の差はありません。現場作業者に確認すると,「早い時は早く,遅い時はすごく時間がかかる」という意見があり,電気検査装置の検査時間を詳細に調査しました。すると,作業者の感覚通り,最短11秒~最長35秒,平均22秒かかっていることがわかりました(図・3参照)。最長:最短:平均:秒秒秒作成日:作成者:阿部期間::平均:秒作成日:期間:秒秒秒電気検査に時間がかかっている(秒/台)作業時間


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