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●対話の機会を増やすQCサークル会合は活動のエンジンともいえるものです。QCサークルメンバー全員で意見交換し,意思統一をはかる。知恵を寄せ合い,メンバー同士の心の触れ合いをはかる。そのような中で,QCサークル活動や職場のあり方など共通認識が持てるように会話や対話の機会を増やします。QCサークル会合の種類と形態としては,次のようなものがあります。(1)定期会合:毎月,会合日を決め,定期的に開催する(2)小会合:朝夕会合(始業,終業10分会合),ミニ会合(関係者のみで,その都度開く会合),5分間会合(問題発生時,臨機応変に開く会合),休憩時間などを利用した意見交換から情報を得る。(3)情報交換会合:メモ・壁新聞,ペーパー会合,聞込み会合(伝言会合)(4)eメール会合:eメールによる会合(情報の連絡,意見交換)(5)社外会合:一杯飲み会合,レクリエーション会合(チームワークを高める)それぞれの会合の利点・欠点を知ったうえで適切に使い分け,時間の有効活用をはかり相互理解を深めることが大切です。また,意見の食い違いなどが発生した場合には,会合だけにこだわらず,個別に対話を重ね理解を深めることも忘れないでください。●サークルの現状を把握するただ,サークル会合が理想的な形で進められていない場合も少なくありません。まずは,そのような現状をメンバー全員で共有することが大切です。メンバーの思いをポストイットに記入,全体共有し,全員で話し合うといった流れで進めます。ポストイットを使うことで,話すのが得意でない人も,ゆっくりと準備して自分の考えを短く書くことができます。また,誰かの発言を聞く前に,まず「自分はどう考えているのか」を書き出すことで,人に左右さ特集QCサークル活動の活性化の工夫あれこれれずに自分で考える癖をつけることができます。そして,一人ひとりの話にきちんと耳を傾け,皆で考える姿勢を生み出すことにつながります。現状を把握することは,サークルとしての活動の振り返りだけでなく,自分自身との対話でも役立ちます。●ありたい姿を描くサークルメンバー全員で,サークルをどのようにしたいかを考え,自分の思いを言語データ化し,さらに層別図解法などを使ってサークルのありたい姿をまとめます。参考例を図・1示します。大表札:QCサークル活動を通じて人財育成と楽しい仕事ができるサークルにするリーダーシップのもとでチャレンジサークルを以前のように名実ともにチャレンジするサークルにしたいチャレンジサークル員の人財育成を図るA君のやる気をサークル活動で発揮させて,ほかのメンバーのやる気の起爆剤とならせたいBさんを次期リーダーとして育成したいC君にレクリエーションの企画実行を行わせて自信をつけさせたいまた,この機会を通じてサークル員のコミュニケーションを図りたい人・組織・仕組みをフルに活用する会社のQC発表会で優秀賞を受賞してサークル員のモラールUPを図りたい会社のQCサークル研修を活用してサークル員のレベル向上を目指したい会社の報奨金制度を活用したいDさんの知見,人脈をフル活用したいE君の女性らしさを活用してサークル内の雰囲気をなごやかにしたい図・1サークルのありたい姿〔出典〕QCサークル千葉地区編,「層別図解法」,日科技連出版社,2016,p.99●ありたい姿を追究する「人は自分が思った通りの人間になる」といいますが,思っただけでは不十分で「思って行った」でなければいけません。行ったことを習慣化することが必要です。QCサークル活動を通じて,どんな自分になりたいかを定め,その追究のために汗をかくことが大切です。(井上研治)2020年5月号11