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2020年1月号51連載講座会社の研修で,「品質管理は大切だ」と教えられました。そもそも,「品質管理」って,何ですか?厳格な検査をして,不適合品(不良品)を出荷させないことでしょうか。①質問第1回「品質管理」って,何ですか?解説①「品質管理」という言葉は,職場ではもちろんのこと,新聞・雑誌でも多く登場しており日常的に使われるようになりました。しかし何かの行為そのものだけを指している言葉ではありません。(一社)日本品質管理学会の定義では,「顧客・社会のニーズに応えるために,製品・サービスの品質/質を効果的かつ効率的に達成する活動」とされています。つまり,「お客様が望むものを,確実に,うまくつくるためのあらゆる活動」と言い換えることができます。品質管理のもっとも大きな目的は,よい製品・よいサービスをお客様に提供することですが,「不適合品を出さない=検査による品質保証」から「不適合品を作らない=工程管理による品質保証」へ,さらに「不適合品を企画・設計しない=源流管理による品質保証」へと発展してきました。お客様の望むものを提供することで会社の売上げを拡大し,不適合品を出さない(作らない)ことで損失を減少させて,会社利益を上げることが品質管理の重要な役割といえます(図・2参照)。品質管理は,品質マネジメント活動とも呼ばれます。品質管理(品質マネジメント)の目的源流管理による品質保証工程管理による品質保証検査による品質保証図・2品質管理の目的②質問品質のよさは,何で決まりますか。解説②品質とは,製品・サービスが,お客様のニーズを満たしている程度のことです。そのため,品質のよい/悪いは,使う側が使った結果で判断するものです。たとえば車の場合,スポーツカーと軽自動車,トラックとバスとでは,それぞれの乗り方・使い方によって求められるものが異なります。国や文化などの使用環境によっても大きく変わります。ですから,どちらが品質がよい/悪いは,お客様が何を望んでいて,どのように使われるのかによって変わってくるものです。製品・サービスの様々な要素(機能,性能,使いやすさ,信頼性など)をお客様の満足度や,次の購買意欲に影響を与える度合いから分類したものに「狩野モデル」があります(図・3参照)。