QCサークル 2019年9月号(No.698)


>> P.12

連載講座QC検定受検講座~3級から2級へ~連載講座「QC検定受検講座~3級から2級へ~」小委員会メンバー委員長:須加尾政一委員:遊馬一幸,井上研治,大津渉,鈴木秀男,中島健一第9回計量値データに基づく検定と推定(1)5月号において,数値データには計量値データと計数値データがあることをお話しましたが,今回は計量値データ,すなわち連続量のデータを取り上げて,統計的手法の一つである検定と推定について説明します。質問その①検定・推定という用語はよく聞きますが,難しそうな気がします。どのようなことをしているのでしょうか?私たちが現場で日々取り組む生産活動によって産出される製品の特性は,何らかの計量値データにより把握している場合が多くあります。これらの製品全体の集合を母集団と呼び,工程の管理においては,この母集団の状態に関して,何らかの特性値に基づいた正確な把握が必要となります。たとえば,ある工程で生産される製品の重量を特性値(取り組むべき問題の評価指標)とする時,その工程で作られる製品のすべての集合が母集団となります。一般に母集団は,5月号で説明した正規分布N(μ、σ2)に従っていると仮定され,母平均μ(ミュー)と母分散σ2(σ(シグマ)は母標準偏差)の値を推測することが重要となります。これらの分布を決定するμやσを母数あるいはパラメータと呼びます。図・1に示すように,母集団を特徴づける分布の型や母数に関する正確な情報をサンプル(標本)から得ようとすることを総称して統計的推論といいます。統計的推論は,分布の型の推論と分布の母数の推論からなります。検定と推定とは,母集団の分布の母数に関する推論であり,検定とは母集団分布の母数に関する仮定(仮説といいます)を統計的に検証する方法です。一方,推定には母数をある値(点)として推定する点推定と確率的な裏づけを持った区間として推定する区間推定があります。また,分布の型に関する推論とは母集団がどのような確率分布に従っているかを推測するものであり,たとえば適合度検定と呼ばれる方法で推測されます。50QCサークルNo.698


<< | < | > | >>