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特集日常管理の基本に戻ろう〜維持・改善・標準化の重要性〜その結果,真の原因は,以下のとおりであることがわかりました(図・2参照)。①トイレ誘導者の選定基準がない②排泄記録のマニュアルがない③トイレ内の整理整頓ができていない5.対策の立案と実施すべての原因に対して,対策の検討を行い,7つの対策(系統マトリックス図の決定事項)を実施しました(図・3参照)。施設内の排泄用具の特性を調べる排泄状態を調べる排泄ケアにかかわる重要なADL動作を多職種で検討するトイレ誘導表の見直しを行うパット吸収量を把握する現状の記録方法を把握する効果◎◎◎◎○◎記録している時間を調査する実施事項◎施設内の排泄用具の特性を調べるトイレ内での職員の行動分析を行うトイレ誘導表の見直しを行う一次手段トイレ誘導者の選定基準を作る使っていない物を把握する◎排泄ケアにかかわる重要なADL動作を多職種で検討する◎実現性コスト◎△◎◎○◎◎主担当◎◎◎◎◎◎◎決定○○○○○多職種で検討し,排泄用具選択をフローチャート化排泄用具選択のADLフローチャートYesNo座位保持インターライG2評価4以下立ち上がり,立位保持インターライG2評価4以下方向転換(180度回転)インターライG2評価4以下各動作をインターライのADL評価と連動した方向転換(90度回転)インターライG2評価4以下取り組み内容ピックアップリハビリパンツ+パット◎橋本三木◎新谷(剛)・施設内で使用している排泄用具の性質の違いを調査した○◎・主にリハビリ組と連携し,排泄動作における重要なADLを検討し,排泄用具選択のADLフローチャートを作成した。・上述フローチャートを使用し,個人に合った排泄用具を選択,トイレ排泄表を見直した。◎○側臥位保持オシメパット交換トイレの違いで,必要な身体能力が違う共同トイレPトイレ(常設)Pトイレ(常設)Pトイレ(抜き差し)便秘,尿路感染などを繰り返す利用者で,Pトイレ座位が可能な方は,残尿排出のため,1日1回程度はPトイレを使用する。本人,家族がPトイレ以上の用具を希望した場合は,希望に添えるよう介助方法,環境を調整することを第一に検討する。トイレ誘導者の選定基準を作る排泄記録マニュアルを整備するトイレ内の整理整頓を行うトイレ誘導ができる図・3対策の立案と実施内容6.効果の確認トイレのタイムリーな誘導が不十分と感じる未実施率は61.6%が5.9%となり,目標0%を達成することはできませんでしたが,大幅に低減することができました。また多くの波及効果も得られ,サークルにとっては,やりがいや達成感につながる活動となりました。◆トイレの誘導未実施率:改善前61.6%➡改善後5.9%(達成率95.8%)【波及効果】①トイレ誘導者の選定基準が不明確➡選定基準の明確化と運用手順の作成②排泄記録漏れ➡記録マニュアルの作成③トイレ内のスタッフの行動分析➡ご利用者様に合わせた介護手順書の作成7.標準化と管理の定着①トイレ誘導者の運用基準と手順の作成・遵守②排泄記録マニュアルの作成・訓練・遵守ご利用者様にご満足いただけるトイレの誘導を手順書やマニュアルに作成し,皆で守り実行することで,介護ノウハウを伝承することができました。改訂する時は更なるサービスの質の向上を目指す時です。(高木美作恵・滝井美咲緒)ポイント介護の現場では,ご利用者一人ひとりの目線で頑張っているものの,様々な介護サービスに対し,すべてのマニュアルが整備されているとは限りません。むしろ,スタッフの判断に任されることが多く,サービスの質のばらつきも見えず,気づかないことがたくさんあります。この事例は,介護の現場でもQCサークル活動を通じて,顧客視点でメンバーが知恵を出し合い,工夫をすることで3ム(ムダ,ムリ,ムラ)の見える化,不具合の見える化による問題の解決,得られた介護ノウハウの標準書(マニュアルなど)としての蓄積・伝承による日常管理レベルの向上が示されています。(高木美作恵)2021年4月号11